代表取締役が交代する|チャートで分かる、うちの会社が出す書類
来月、社長を息子に譲ります。登記は何をすればよいですか?
私が代表取締役を降りて、取締役をしている長男に代表を譲ります。私自身は取締役として残るつもりです。会社の実印は私の名前で届けてあるはずなのですが、これも替えるのでしょうか。株主は私と妻と長男だけで、総会らしいものを開いたことはありません。銀行にも何か出すのだと思うのですが、何から手をつければよいのか分かりません。
代表取締役を誰が決めるかは、取締役会のある会社かどうかで変わります
取締役会のある会社は、取締役会の決議で新しい代表取締役を選びます。取締役会のない会社は、定款で直に決めるか、取締役の互選か、株主総会の決議で選びます。どれになるかは、その会社の定款に書いてあります。決まったら登記し、新しい代表取締役の名前で会社の実印を届け出ます。
代表取締役は取締役の中から選びます。新しく代表になる方がまだ取締役でなければ、先に取締役に選ぶ決議が要ります。
総会を開いたことがない会社でも、進められます。株主総会で決める会社なら、全員が集まらなくても、株主全員が書面で同意すれば決議があったことになります。取締役会のある会社でも、定款にその定めがあれば、取締役全員の書面の同意で決議に替えられます。議事録も同意書も、こちらで作成します。
登記の期限は、交代の日から2週間です(役員変更登記の期限)。過ぎていても申請できます。
司法書士は、登記簿の役員の欄と、定款の決め方を見ます
交代で書き替わるのは、登記簿の役員の欄のうち代表取締役の行です。取締役として残るなら、取締役の行はそのままです。
前の社長A野B男が代表取締役を辞めて取締役として残り、取締役だったA野C男が新しい代表取締役になった場合です。
役員に関する事項
| 資格・氏名(代表取締役は住所も) | 原因年月日・登記年月日 |
|---|---|
| 取締役 A野 B男 | 令和3年6月25日重任 令和3年7月2日登記 |
| 取締役 A野 C男 | 令和3年6月25日重任 令和3年7月2日登記 |
| 埼玉県さいたま市浦和区高砂○丁目○番○号 代表取締役 A野 B男 | 令和3年6月25日重任 令和3年7月2日登記 令和8年7月1日辞任 令和8年7月8日登記 |
| 埼玉県さいたま市浦和区常盤○丁目○番○号 代表取締役 A野 C男 | 令和8年7月1日就任 令和8年7月8日登記 |
何を作るかを決めるために、司法書士は次のところを見ます。
- 取締役会のある会社かどうか登記簿に「取締役会設置会社に関する事項」という欄があり、そこに「取締役会設置会社」と登記されていれば、取締役会のある会社です。取締役会があるかどうかで、誰が決めるかも、要る書類も変わります。
- 定款の、代表取締役の決め方取締役会のない会社では、「取締役の互選によって代表取締役を定める」のように書かれています。この定めが無ければ、株主総会の決議で選びます。
- 新しく代表になる方が、いま取締役かどうか登記簿の役員の欄に名前があるかを見ます。あれば、いつ就任または重任したかも見て、任期がいつまで残っているかを数えます(取締役の任期は何年?)。
- 前の社長が、取締役として残るかどうか残る場合と、取締役も辞める場合とで、作る書類が変わります。取締役会のある会社は取締役が3人以上必要なので、辞めると人数が足りなくなる会社もあります。決めていなければ、そのままお知らせください。
決め方で変わる書類と、会社の実印の届け直し

うちの会社は、何を出すのか?
代表取締役だけが交代する場合です。分からない項目は「分からない」で構いません。定款と登記簿は、司法書士が見て確かめます。
取締役会を置いている会社ですか
5とおりの答えを、まとめて見る
置いている
取締役会の決議で選びます
- 取締役会議事録
- 新しい代表取締役の就任承諾書(ご本人が個人の実印を押します)
- 新しい代表取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 委任状
置いていない取締役どうしで決めた
取締役の互選で選びます
- 定款(互選で決めると書いてある部分)
- 取締役の互選書
- 新しい代表取締役の就任承諾書(すでに取締役の方なら、認印で足ります)
- 新しい代表取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 委任状
定款に互選の定めがあるかどうかは、司法書士が確かめます。定めが無ければ、株主総会で決めます。
置いていない株主総会で決めた
株主総会の決議で選びます
- 株主総会議事録(総会を開かないときは、株主全員の同意書)
- 株主リスト
- 新しい代表取締役の就任承諾書(すでに取締役の方なら、認印で足ります)
- 新しい代表取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 委任状
総会を開いていない会社では、株主全員の同意書で決めます。同意書も、こちらで作成します。
置いていない分からない
定款を見てから、互選か株主総会かが決まります
- 定款(見当たらなければ、設立のときの書類や過去の登記から司法書士が確かめます)
- 取締役の互選書、または株主総会議事録と株主リスト
- 新しい代表取締役の就任承諾書
- 新しい代表取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 委任状
定款に互選の定めがあれば互選書、無ければ株主総会の議事録になります。どちらに当たるかは、司法書士が定款を読んで確かめます。
分からない
登記簿と定款を見て、こちらで確かめます
- 新しい代表取締役の就任承諾書
- 新しい代表取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 委任状
- このほかに、取締役会議事録・互選書・株主総会議事録のどれかと、定款や株主リスト
取締役会があるかどうかは、登記簿に登記されています。会社名と本店の所在地をいただければ、司法書士が確かめます。就任承諾書・印鑑証明書・印鑑届書・委任状は、どの会社でも同じです。
- 議事録や互選書に押す印鑑は、いまの社長が会社の実印を押せるかどうかで変わります。押せれば、ほかの出席者は認印で足ります。押せないときは、その書面に押印した方それぞれの個人の実印と、その印鑑証明書が要ります。どちらになるかは、司法書士が確かめます。
- いまの社長が取締役としても辞めるときは、辞任届も出します(取締役が辞任する)。
- 新しく代表になる方がまだ取締役でないときは、取締役としての就任承諾書も出します。同時に新しく入る取締役がほかにいれば、その方の本人確認証明書(住民票の写しなど)も要ります。
- 定款に代表取締役の氏名そのものが書いてある会社では、定款の変更もあわせて申請します。
これらの書類は、こちらで作成します。会社でしていただくのは、押印と、印鑑証明書を取ることだけです。
新しい代表取締役の印鑑証明書は、取締役会のある会社では就任承諾書に、どの会社でも印鑑届書に使います。この2つには同じ1通を使えるので、多くの会社では新しい社長の印鑑証明書1通で足ります。
辞任届(代表取締役だけを辞めるとき)
私は、このたび一身上の都合により、貴社の代表取締役を辞任いたしたく、お届けいたします。
令和○年○月○日
埼玉県さいたま市浦和区高砂○丁目○番○号
A野 B男 ㊞
○○商事株式会社 御中
会社の実印も、届け出直しになります。いまの届け出は、前の社長が自分の資格と氏名でしたものなので、代表取締役でなくなると効力を失います。新しい代表取締役が、印鑑届書で自分の名前の届け出をします。司法書士が代理人として、登記の申請と同じ日に届け出ます。会社が法務局へ出向く必要はありません。

出典:法務局ホームページ「商業・法人登記の申請書様式」。この様式を加工しています。会社名・氏名・住所は架空のものです。
商号・本店
登記簿のとおりの商号と、本店の所在地です。
資格・氏名・生年月日
「代表取締役」と、新しい代表取締役の氏名、生年月日です。
届出人と押す印鑑
新しい代表取締役が市区町村に登録した印鑑(個人の実印)を押します。司法書士が代理人として届け出る場合は、届書の中の委任状に押していただきます。
印鑑カード
前の代表取締役のカードを引き継ぐ形にすると、番号の変わらないカードをそのまま使えます。どちらにするかは、こちらでご案内します。
添える書類
新しい代表取締役の印鑑証明書です。
印章そのものを作り直すかは、会社によります。同じ印章のまま、新しい代表取締役の名前で届け出ることもできます。新しくつくる場合は、1辺が3センチメートルの正方形に収まり、1辺が1センチメートルの正方形には収まらない大きさでないと届け出られないので、作る前にご相談ください。
登記の申請から手続が終わるまでのあいだは、会社の登記事項証明書も印鑑証明書も出ません。銀行や取引先へ出すものがあれば、申請の前に取っておくか、登記が終わってから取るかを、日程とあわせてご案内します。
最初に、いただきたいもの
分かることと、手元にある書類だけで足ります。決まっていないことは、そのままで構いません。
- 会社名と本店の所在地登記簿は司法書士が取ります。
- 定款の写し代表取締役の決め方と、任期を見ます。見当たらなければ、設立のときの書類や過去の登記から、司法書士が内容を確かめます。
- 新しく代表になる方の氏名・住所・生年月日住民票に書かれているとおりの住所です。代表取締役は住所も登記され、印鑑届書にも生年月日を書きます。
- 交代の予定日と、前の社長が取締役として残るかどうか見込みで構いません。決めかねていれば、両方の場合でご案内します。
そろえる書類の全体は、役員変更登記の必要書類にまとめています。
司法書士から、ひとこと
代表取締役の決め方は会社ごとに違います。集まって決めるのか、書面で足りるのかまで、定款を見て司法書士がご案内します。
社長の交代は、決算や融資の時期と重なることが多い手続です。予定をうかがったうえで、申請の日をご提案します。
この場面で、当事務所ができること
- 取締役会議事録・互選書・株主総会議事録・株主全員の同意書・株主リスト・就任承諾書・辞任届を作成します
- 新しい代表取締役の印鑑届書を作成し、登記の申請と同じ日に出します
- 会社の証明書を取れない期間をご案内し、登記が終わったら登記事項証明書と印鑑証明書をお届けします
- 定款が見当たらない会社では、設立のときの書類や過去の登記から内容を確かめます
- 変わったこと・変えたいこと
- 「役員の任期が切れていた」「本店を移す」など、ひとことで構いません。
- その時期
- すでに変わった日、またはこれから変える予定の時期。見込みで構いません。
- 本店のある市区町村
- 管轄の法務局を確認するためです。会社名は最初のご連絡では不要です。
会社名と本店の所在地、新しく代表になる方のお名前をお送りください。どの決め方になるかも含めて、こちらで確かめてお返事します。
この件を相談する受付 10:00〜19:00/見積もりは無料です。会社名・個人名は最初のご連絡では不要です。「役員変更・任期」で引き受けることを見る代表取締役の交代について、よくある質問
代表取締役を2人にすることはできますか?
できます。交代ではなく、新しい方を代表取締役に加える形です。この場合、前の代表取締役は代表のままなので、いまの会社の実印はそのまま使えます。新しい代表取締役も、自分の印鑑を届け出られます。
前の社長は、取締役としても辞めたほうがよいですか?
会社で決めることです。取締役として残る場合は、任期が満了したときに、また選び直しの登記が要ります。辞める場合は辞任届も出します。どちらでも登記はできます。
会社の実印を届け出ないという選び方もできますか?
オンラインで申請し、電子証明書で署名する会社は、印鑑を届け出ないという選び方もできます。書面で申請する場合は、申請書に会社の実印を押すので、届け出が要ります。銀行や取引先に会社の印鑑証明書を出す場面があるなら、届け出ておくことになります。
