変更登記の実務|登記を忘れていた

登記簿に「解散」と書かれていた|3年のうちなら会社を続けられます

登記簿に「解散」と書かれていました。会社は営業しています

銀行に出すために登記簿を取ったところ、「解散」と書かれていました。会社は普通に営業していますし、解散の手続をした覚えもありません。法務局からの通知も、見た記憶がありません。このままだと取引にも差し支えるので、元に戻したいのですが。

解散とみなされた日から3年のうちなら、会社を続けられます

最後の登記から12年たった会社は、法務大臣の公告と法務局からの通知のあと、期限までに登記も届出もしないと解散したものとみなされます(みなし解散の通知が届いたら)。解散したものとみなされた時から3年のうちなら、株主総会の決議で会社を続けられます。解散とみなされた会社も、清算の目的の範囲では残っています。

登記簿には、解散したものとみなされた日が記録されています。3年は、その日から数えます。なお、解散の理由によっては続けられないものもあります(合併・破産手続開始の決定・裁判所の命令や判決)。登記簿の解散の欄を見れば、どれに当たるかは分かります。

続けると決めたら、清算人・会社継続・取締役の3つを、1件の申請にまとめます。決議は、総会を開かなくても構いません。株主全員が書面で同意すれば、決議があったものとみなされます。議事録も同意書も、こちらで作成します。

司法書士は、登記簿の3か所を見ます

解散の登記は、法務局のほうでされています。このとき、取締役会設置会社である旨の登記と、取締役・代表取締役の登記には、抹消の記号(下線)がつきます。監査役の登記は残ったままです。司法書士は、次の3つを見ます。

  • 解散したものとみなされた日「会社解散」の欄に、日付と、みなし解散による解散である旨が記録されています。3年はこの日から数えます。
  • 清算人の登記がされているか解散の登記はされても、清算人の登記まではされません。この欄が空のままの会社では、会社継続とあわせて申請します。
  • 役員の欄がどうなっているか取締役と代表取締役の登記は、下線が引かれた形で残っています。会社を続けるときは、取締役を選び直して登記します(役員変更登記の必要書類)。

まとめて申請する登記と、そのとき要る書類

何を登記するかそのとき要る書類
清算人・代表清算人の就任解散した会社では、定款や株主総会で別に決めていなければ、解散のときの取締役が清算人になります。その氏名と、代表清算人の氏名・住所を登記します。定款。株主総会で選んだ場合は、その議事録と株主リスト。
会社継続「令和○年○月○日会社継続」と登記されます。続けるには、議決権の3分の2以上の賛成が要ります。総会を開かない会社では、株主全員に同意書へ署名していただく形にします。株主総会議事録(または株主全員の同意書)と、株主リスト。
取締役・代表取締役の就任会社を続けると、清算人は退任します。継続の登記をすると、清算人と代表清算人の登記には抹消の記号がつきます。株主総会であらためて取締役を選び、代表取締役を決めて登記します。議事録、就任承諾書、印鑑証明書、互選で代表取締役を決める会社は定款と互選書。
あわせてするなら:機関の見直し12年登記をしていない会社では、取締役会設置会社のままで、登記されている取締役がもういない、監査役の欄だけが残っている、ということがあります。続けるのにあわせて、取締役会や監査役を置かない形にできます。定款変更の決議をした株主総会議事録と、株主リスト。
法務局の記載例の文面です。総会を開かない会社では、同じ内容を株主全員の同意書にします。どちらも司法書士が作成します。
このほかに、清算人・代表清算人・取締役・代表取締役を並べて書きます。申請書に直接書いても、別紙にしても構いません。

登録免許税は、清算人の登記・会社継続の登記・役員の登記の3件分がかかります。1件の申請にまとめても、1件分にはなりません。金額は、登記の種類と、会社の資本金の額で決まります。

代表取締役の印鑑を法務局に届け出るときは、印鑑届書もあわせて申請します。届書は司法書士が用意し、代表取締役の個人の実印を押していただきます。継続の登記は、決議の日から2週間以内です。過ぎていても申請はできます。

最初に、いただきたいもの

分かることと、手元にある書類だけで足ります。見当たらない書類は、なくて構いません。

  • 会社名と本店の所在地登記簿は司法書士が取り、解散の日と登記の状況を確かめます。
  • 定款の写し清算人が誰になるか、代表取締役をどう決める会社かを見ます。見当たらなければ、その旨をお知らせください。
  • いま会社を動かしている方と、株主続けたあとに取締役になる方と、株主の顔ぶれです。おおよそで構いません。
  • 法務局から届いた書類通知書や、裁判所からの書面があれば、写真でお送りください。

司法書士から、ひとこと

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

何の登記が残っているかは、登記簿を見れば分かります。会社名と本店だけいただければ、こちらで取って数えます。

この件のご相談

この場面で、当事務所ができること

  • 登記簿から、解散とみなされた日と、清算人の登記が済んでいるかを確かめます
  • 会社継続の議事録(または株主全員の同意書)、就任承諾書、株主リストを作成します
  • 3つの登記を1件にまとめて申請します
  • 継続にあわせて、取締役会や監査役を置かない形に直すこともできます
変わったこと・変えたいこと
「役員の任期が切れていた」「本店を移す」など、ひとことで構いません。
その時期
すでに変わった日、またはこれから変える予定の時期。見込みで構いません。
本店のある市区町村
管轄の法務局を確認するためです。会社名は最初のご連絡では不要です。

会社名と本店の所在地をお送りください。登記簿を取って、解散とみなされた日と、これから申請する登記をお伝えします。

この件を相談する受付 10:00〜19:00/見積もりは無料です。会社名・個人名は最初のご連絡では不要です。「登記を忘れていた」で引き受けることを見る

会社継続について、よくある質問

解散とみなされてから3年を過ぎていました。もう続けられませんか?

会社を続けることはできません。その場合は、清算の手続を進めて会社を閉じるか、新しく会社をつくるかになります。取引先との契約や許認可が引き継げるかで結論が変わるので、そこは司法書士が登記簿と契約書を見て判断します。

どんな解散でも、続けられますか?

続けられるのは、みなし解散のほか、定款で決めた存続期間が満了した場合、定款で決めた解散の事由が起きた場合、株主総会の決議で解散した場合です。合併でなくなった会社、破産手続開始の決定を受けた会社、裁判所の命令や判決で解散した会社は、会社継続の手続はとれません。どれに当たるかは、登記簿の解散の欄を見れば分かります。

解散とみなされている間の取引は、無効になりますか?

解散したものとみなされた会社も、清算の目的の範囲で存続します。ただ、登記簿を見た取引先や銀行から説明を求められることはあるので、続けるのであれば早めに登記します。

通知書を受け取っていないのに、解散とみなされました

通知書は、登記簿の本店あてに送られます。本店を移したのに登記をしていない会社では、届かないまま期限を過ぎていることがあります。届いていなくても、公告の対象であれば同じ扱いです。会社を続ける手続はできます。

続けたあと、また同じことになりませんか?

会社継続の登記をすると、最後に登記をした日が新しくなります。そのあとは、役員の任期が切れるたびに登記をしていれば、最後の登記から12年がたつことはありません。任期の数え方は「取締役の任期がいつ切れるか」に書いています。

この記事に出てくる言葉

この記事は、一般的な株式会社(非公開会社)を想定した説明です。必要な書類や手続は、定款の定め・機関の構成・株主の状況によって変わります。実際の手続では、担当する司法書士にご確認ください。